JOURNAL

『BIG BULL BOSS』の現場をふりかえる

神戸市灘区を中心に住宅や店舗のリノベーションを行うIDA DESIGN(株式会社IDA Company)代表 伊田です。今回は店舗設計施工についてお話させていただきます。

当社にとって店舗設計とは

当社は住宅設計をメインとし、住まいのリノベーションなどの設計施工を行っておりますが、店舗の設計施工もご依頼いただいております。

私の経験値としては住宅に関わる事が多く、より快適に、より安心して、健康で自分らしく生活するために、その生活空間をどのようにデザインしたら良いのかということをお施主様と一緒に考え、アイデアをだし、それを形にすることを得意としています。

ただ物を売りたい、席数を増やし回転率をもっとあげたい、など、お店を経営するうえで商売の利益を残すという観点だけで考えれば、場合によっては、店舗設計を専門としている会社のほうが相談相手としては適しているかもしれません。

ただ、オーナーさまのお店に対する想いを空間に反映し、そこに訪れてくださるお客様にその想いを届けるといった部分であれば、私はいろんなかたちでお手伝いできると思っています。

想いだけでは商売が成り立たないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、私自身、設計デザイン業のみでなく自身でカフェの経営もしているので、日々、店舗経営の苦しみや喜びなどいろんな経験を重ねてきています。私が得意とするデザインの武器とともに、カフェオーナーとしての経験を生かした2つの視点からの空間づくり、お店づくりができると思っています。

これらに共感いただいたオーナーさまからは、頼んで良かったなと思って頂いているのではと自負しています。

いわゆる店舗設計屋さんでは無いけれども、当社の強みを活かした店舗設計についても自信をもってご提供しています。


店舗設計施工『BIG BULL BOSS』ついて

今回は、店舗の設計施工として携わった『BIG BULL BOSS』の現場をふりかえってみます。

> 大阪堀江の店舗事例『BIG BULL BOSS』はこちら

大阪の堀江でアパレルショップを開きたい、というオーナーさまのお話がきっかけでした。

聞くと、アパレルはアパレルでもワンちゃん専門で、しかもフレンチブルドッグに特化した商品を扱うということで正直びっくりしました。ターゲットをフレンチブルドッグに絞るということで少し不安もあったのですが、オーナーさまの話を聞けば聞くほど、しっかりとしたコンセプトがあり、物件のエリア選定とあわせて納得感のある中で計画を進めていく事となりました。

テナントとしての店舗物件は、お話をいただいた時点で確定しておらず、何件か候補がある程度でしたので、一緒に物件を訪れ、この物件ならこんなことができますといった感じで、ざっくり図面のスケッチをしながら物件探しのお手伝いをしました。

今回の店舗の概要としては、第一に「フレンチブルドッグのアパレル」というのがテーマ。
具体的には、

ECサイト販売がメインになるので、サイト用の撮影スペースの必要性
・ブランドのコンセプトショップとしての位置づけ
・オフィスとして打合せがあるので打合せスペースの確保
・ミシンを動かす作業場としてのスペースの確保

と、最初にイメージしていたよくあるアパレルショップとは異なる計画が必要でした。

そんな中で、当社が住宅設計などのデザイン建築系会社でありながら、カフェの経営もやっていることもあり、フレンチブル仲間たちとお茶が飲めるようなカフェもいいよね、お酒も飲めたらおもしろいかな〜などと様々な可能性についてお話を重ねました。

ただ実際にはカフェとなると飲食業許可が必要になったり、どの許認可でどういう申請を出していくということも合わせて考える必要があります。いろんなアイデアをだしながら、物件の確定後、優先順位をつけてこだわるポイント、諦めるポイントと取捨選択していくこととなりました。

最終的に決まった物件のスペースの関係で、いわゆるカフェやレストランはやめましたが、せめてお客様や打ち合わせ相手の方には、美味しいコーヒーを出せる環境だけは作ろうよ、ということに落ち着きました。

あくまでもオフィススペース、作業スペース、実店舗スペースという3つの機能で決定し、より具体的な設計に入っていきました。


ワンちゃんが走り回る店内

今回の店舗の特徴として、お客様はワンちゃんを連れて散歩途中でご来店されるケースが想定されるので、考慮すべき点がいくつかありました。

私の知る限りフレンチブルドッグというのは、少しやんちゃで力が強い犬種という認識があり、店舗の中を走り回ったり、店内什器にぶつかることもあるだろうということから考えて、店内レイアウトや素材を決めていきました。

まずはワンちゃんが走り回れるスペースの確保として、一般的なアパレルショップに比べると自由な空間が必要と考え、余裕をもたせたレイアウトとしました。

素材選びに関しても、床材は「デザイン性」と、ワンちゃんの足の負担や「メンテナンス性」も考慮して選定しました。

壁材はワンちゃんが爪で引っ掻いたりしたらすぐにめくれてしまう壁紙は避け、強度を持ちつつ、雰囲気や手触り感などのよい塗装材を選び、職人さんとしっかり打合せをし、塗り方のサンプルをいくつも作成してから仕上げに入りました。

また、今回の店舗には看板ワンちゃんがいます。私も自分のオフィスにワンちゃんを連れてきているのでよく分かるのですが、彼らの縄張り意識みたいな感情をケアしてあげることも考えました。


店内デザイン

物販はECサイトが中心ということで、とにかく品数を多く見せるスペースレイアウトをご希望ではありませんでした。

そこで考えたのは、ブランドのイメージが伝わるように、とにかくかっこよくディスプレイでき、商品を飾る壁面がアートのように魅えることを意識しました。

試行錯誤しながら、金物屋さんと絵画のフレームのようなハンガーラックを制作し、ディスプレイできるようにしました。

BIG BULL BOSS

またオーナーさまより、ゆったりくつろぎながらショッピングもおしゃべりも楽しんでいただきたいという考えのもと、キッチン風のレジカウンターを設けました。

そのことによりお家のリビングダイニングに友人をお家に招き入れるようなイメージで、くつろげる空気感も出しました。

そのキッチン風レジカウンターを挟んで奥にはオフィス兼作業場をレイアウトし、店内とオフィス兼作業場を区切る役目も持たせました。

BIG BULL BOSS

次にオフィススペースですが、ここの打合せスペースの机は、スタッフさんたちが和気あいあいとコミュニ ケーションを取れるよう、また店内からも見える場所なので、デザイン的にも考え無垢の木の板を採用することにしました。 当社の付き合いのある無垢板を取り扱うショールーム兼倉庫にオーナーさまといっしょに行き、何百点とある中から1枚選び、こだわりのテーブルに仕上げました。 オフィスのスペースですが、事務的な雰囲気のない、お店のイメージにあった打合せスペースになったのではと思います。

BIG BULL BOSS
BIG BULL BOSS

引き渡し後のお付き合い

BIG BULL BOSS

最後に、引き渡し後1年ほど経ってから電話で、ワンちゃんのゾーン分けのための柵を作り直したいとのご連絡がありました。 当初、頑丈に制作していたのですが、フレンチブルドッグのパワーが勝っていたようで、今回はより頑丈な特注の分厚い木材で再度制作しました。このようにお引渡し後も、今回のようなご連絡やちょっとした困りごとの相談にお答えし、お店のその後も見続けていけるのは嬉しいことだと思います。

> 大阪堀江の店舗事例『BIG BULL BOSS』はこちら
> ECサイトはこちら


事例集バナー
IDAジャーナルとは
住宅や店舗のリノベーションを手がける IDA DESIGN(アイディーエーデザイン) のコラムです。 リノベーションの基礎知識や、デザインやインテリアに関することを代表ブログでお届けしています。 コラムを通じて、住宅リノベーションの知識を深めつつ、私たちのことを知っていただけたら嬉しいです。

IDAジャーナル

関連する事例

事例TOP

ご相談はこちらから