JOURNAL

『カリフォルニアスタイル リノベーション』の現場をふりかえる

神戸市灘区を中心に住宅や店舗のリノベーションを行うIDA DESIGN(株式会社IDA Company)代表 伊田です。

リノベーションの現場というのは、新築物件とはまた違った課題に直面することがあります。ここでは各物件ごとにそれらのお話を含めながら、現場やデザインについてお話をさせていただきます。

今回は『カリフォルニアスタイル リノベーション』について

『カリフォルニアスタイルリノベーション』について

建物の概要〜『3世代の2世帯住宅リノベーション』

今回お話する物件は、兵庫県加東市のご夫婦(40代)とそのお子様たちが、実家でご両親と同居される『3世代の2世帯住宅リノベーション』です。

>兵庫県加東市の住宅リノベーション事例『Californian Style Renovation』はこちら

実際に現地へ訪れてみると、大きな敷地の中にいくつか建物があり、その建物自体は築年数が経ってもまだまだ立派な日本家屋でした。人によっては古民家といってもいいくらい古い建物があったり、ところどころ改修リフォームや増築などが行われた形跡が見て取れました。

一般的なリノベーションの場合は、新たな生活に向けてイメージを膨らませながら現場の確認をさせて頂くことが多いのですが、それよりもまず先に、構造的なところであったり、役所との協議が必要だと思われる事項が多々あったりと、先に問題解決すべき事項が大切になってくるのでは、との印象を瞬時に受けました。

役所との協議〜築年数が経っているので課題が色々とある

実際、その町の役所には数えられないくらい足を運び、担当の方と幾度と協議を重ねました。

具体的には、今回の建物は築年数が大きく経っていることもあり、今で言う建築確認の図面が一切ありませんでした。そういった状況なので、役所の立場からすれば一切何も触らないか、工事をするのであればすべて解体して新たに建て直してほしいという希望が大前提にありました。

すべての方に共通すると思いますが、リノベーションや工事には予算があります。当然今回も予算が決まっていて、役所の言う解体後新たに建て直すという選択は難しいので、活用できる部分は利用して、予算の範囲内で理想の住まいを実現させる必要がありました。

まず、私たちの考えと、役所の考えとのギャップを埋める作業を行いました。工事というのは役所にOKをいただかないかぎり進められませんので、一つひとつ道筋を見つけることがこのプロジェクトの初期段階において一番の課題であり、私たちが頑張ったところでした。

役所との協議を重ねた結果、一部建て替え、一部補修、そしてそれらの建物同士を繋ぐという方法を取ることになりました。できるだけ自然な繋がりを考え、何度も図面を書き直し、最終、役所との協議においてOKを頂き、確認申請、構造計算とクリアしていきました。

現場解体作業〜先を見すえた解体工事

『カリフォルニアスタイルリノベーション』について

さあこれから工事の着工・・・の前に、リノベーションの現場には解体工事というものがあります。

解体工事と言っても、すべて壊し、まっさらにするわけではなく、先のことを見すえた慎重丁寧な解体工事が必要になります。特にこの案件に関しては、建物の築年数も古く、より慎重な解体工事が必要だったため、現場に張りついて、一つひとつ確認しながら、職人さんに指示をだしたり相談しながら解体していきました。

今回の工事はそういった複雑さ、また解体してみないとわからない事なども踏まえて、解体工事自体とその後の工事を分けて契約をしていただきました。解体工事をしながら、一緒に現状を確認し、その先の計画についての図面であったり、見積もりであったりを修正しながら進めて行きました。

リノベーション工事。テーマはカリフォルニアスタイル

『カリフォルニアスタイルリノベーション』について
『カリフォルニアスタイルリノベーション』について
『カリフォルニアスタイルリノベーション』について

数々の困難はありましたが、無事に解体ができたので、これから建物を作り上げていくことになります。

テーマはアメリカ西海岸、カリフォルニアスタイル。

施主さまご夫婦、ご両親は全員カリフォルニアの思い出がある方々で、その空気感を取り入れたいとのご希望がありました。

前半で話したように、新築ではなく既存の建物を利用したリノベーションとなるので、古い建物が残る空気感の中にカリフォルニアの風を吹かすというのは、一筋縄ではいかない部分もありました。そこの部分に関しては、とても悩み甲斐がありました。しっかり悩んでご提案いたしました。

設計では、カリフォルニアスタイルということで、特に風通り、光の入り方というのを意識し、明るくて清々しいイメージを大切にしました。もちろん気候は日本なのでまったく違いますが、そういう世界観、空気感を何とか作れないかなと考えた事と、周辺は古い古民家なので、それとミックスされた空間になるというのが、難しさもあり楽しさでもありました。

具体的な方法としては、リビングダイニングキッチンに大きなサッシを設けました。空間内に大きく光を取り入れられるように、大工さんやサッシ屋さんと、議論を重ねて、角度を調整しながらカリフォルニアの光のように感じられることを目指しました。

あわせて、そこに出てくる光を受ける内装も意識してご提案。キッチンや他の収納類もほとんど造作させていただいたので、インテリアテイストを合わせやすく、より統一感を出せたと思います。造作することで見た目だけでなく、使いやすさと暮らしやすさへの追求も怠りませんでした。

お施主さまは、ご自宅に友達をよく呼ばれるということで、趣味のレコードやギターの見せ方を考えたり、家族だけの動線と、お友達が来られたときの動線をそれぞれ考えたり。お施主さまと一緒に考え、暮らしに寄り添いながら一緒に作り上げていったこと、そしてそれが形になって喜んでいただけたことが、私たちにとってなにより嬉しいことでした。

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IDAジャーナルとは
住宅や店舗のリノベーションを手がける IDA DESIGN(アイディーエーデザイン) のコラムです。 リノベーションの基礎知識や、デザインやインテリアに関することを代表ブログでお届けしています。 コラムを通じて、住宅リノベーションの知識を深めつつ、私たちのことを知っていただけたら嬉しいです。

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