神戸市灘区を中心に住宅や店舗のリノベーションを行うIDA DESIGN(株式会社IDA Company)代表 伊田です。
リノベーションの特性として、その時、そこに住む人の暮らしに合わせるということがあると思います。そういったリノベーションの特性を存分にいかした天城のショールームの増築のお話をさせていただきます。
<目次>
1.IDA DESIGN のモデルルームとして
当社の設計施工のお仕事の中で、一番ご依頼が多いのがマンションリノベーションです。
マンションリノベーションは、新築住宅を建てたり賃貸住宅に住むことに比べて、その時のライフスタイルや家族構成に合わせて手を加えていけることだったり、ある程度そういうことをみこしてリノベーションをすることが考えられます。
時代背景やライフスタイルの変化に伴い、設計施工の技術やデザインも変わります。IDA DESIGNとしては、そこに住む人のためにデザインを行いますが、当社らしさというものも、デザインや建築的細部の納まりなどに出てきているのかなと思います。
だからこそ、そんなIDA DESIGNらしさを全面に押し出したモデルルームを実際に体験していただきたいという思いから、このマンションリノベーションプロジェクトを立ち上げましたのですが、その後のコロナ禍によって、お客様をご案内することが困難な状況になってしまいました。
さてどうしようかと考えた時に、この空間が無駄にならないよう私自身がこの部屋に住み、状況が許せばお客様を案内してモデルルームとして活用するというのはどうかと、当初の予定から方向転換して進めることにしたのです。
2.ライフスタイルの変化をリノベーションで解決
リノベーションしたこの古いマンションの一室は、モデルルームの予定を変更して私が住むことになったわけですが、当時は妻と2人で生活がスタートしました。その後3〜4年と月日がたち、0歳と1歳の2人の子どもたちに恵まれ今は家族4人の生活となり、私達の生活は大きく変わりました。
冒頭にお話したリノベーションの特性といいますか、醍醐味として、その時のライフスタイル、家族構成にあわせて手を加えていけることがまさにピッタリといった状況で、今回更にリニューアルを加えることになりました。
当社のテーマである「好きと暮らす」、「暮らしに彩りを添える」を、あちこちに詰め込んでおります。
ベースの「家族で楽しく仲良く快適に住む」というキモはおさえながら、友人を招きたくなる、また友人から「遊びに行きたい」と言ってもらえるような空間を目指しました。リビングキッチンはそれをさらに促進するような、自然とコミュニケーションが取れるようなレイアウトにしてます。
今回、子供が2人増えたことで行った増築リノベーションは、主に寝室部分と子供と妻のウォークインクローゼット、そして勝手口玄関です。
寝室については、家族4人がゆったりと寝ることができることだけでなく、朝起きたとき少ない時間ながらも私が子供達とコミュニケーションを取ったり、遊び時間を作りたいなという思いがありました。そのため限られたスペースの中で、できるだけオープンな空間にしながら、大きなベッドを設置せず、小上がりの様に床を一部分あげ、そこにマットレスを直接置くことにしました。
大きく高さのあるベッドが無いことで空間の自由度が増し、子供がベッドから落ちる心配もなく、朝起きてすぐその場で子供達と遊んだり、コミュニケーションが取りやすくなっています。ソファー代わりにマットレスを背もたれに、正面の壁にテレビを付け、家族4人並んで映画が見れるようなことも計画中です。
3.自分らしいオリジナル感のあるデザイン
またデザイン的には、私自身がたくさんの色を使う空間や、さまざまな柄物を合わせることが好きなので、子供達にもそういう環境で育ってほしいと思っています。「好きと暮らす」というテーマでは、たくさんの好きなものに囲まれながら暮らすことで、物を飾る概念だったり、飾るときの美的感覚も一緒に育ってくれれば良いなという思いもあります。
「飾る」ということで言えば、物を飾るところ、飾らないところを意識したり、壁紙も様々なデザインを組み合わせたりしました。もちろん、壁紙だけではなく塗装をした部分も随所にあります。
仕事柄、現場で解体後処分してくださいといわれた古い廃材や、使われなくなった扉などを譲り受け、一時的に倉庫に保管してあるものがあります。今回、そういった物の中から古い扉を出してきてリメイク塗装したものを使いました。古いものだけでなく新品の扉も採用し、空間に馴染むよう塗装したものを併用したりしています。
増築部分は主に寝室とクローゼットの部分だけですが、塗装屋さんにお願いした色は最終的に9色も作ってもらうことになりました。例えば1枚の扉でも2色使って塗り分けてもらったり、古い廃材と新品の物を同じ色で塗ってもらったりなど、職人さんに苦労してやってもらった部分が多々あります。
出来上がってみればそういった苦労やみんなの努力が、オリジナル感のある、私にとっては居心地の良い空間に結実したのだと思います。
例えば、お客様と打ち合わせを進める中で、アクセントクロスを1面に採用するだけでも勇気がいるとおっしゃる方もいます。
そのような感情は十分わかるのですが、好きを前面に、自分の空間なので臆することなく、好きなものをぶつけていただければよいかと思います。一見、詰め込みすぎると相性が良くなかったり統一感がないのではと、悩まれる方も多くいらっしゃいますが、いくつかの工夫と、しっかりデザインと向き合えば、決してパニックになることなく、その人らしい空間ができると思います。
そういうふうに僕は信じて普段からデザインしてるので、お客様にとっての好きを全面に、好きに囲まれる快適な生活、そういう空間作りのお手伝いができればいいかなと思っております。
ぜひ増築リニューアルしたモデルルームも一度見に来てください。