JOURNAL

『住空間のゴールデンゾーン』

神戸市灘区を中心に住宅・商空間のリノベーションを手掛けている、IDA DESIGN代表の伊田昌玄です。

今回は『住空間のゴールデンゾーン』について、リノベーション、インテリアのコツ、デザインの現場などから思うところをお伝えできたらと思います!

住空間のデザインにおいての特徴

『住空間のゴールデンゾーン』について

ものづくり、デザインには様々なものがあります。
家具や車、洋服など生活のまわりの様々なもの、また表現者ということでいうと音楽やアート等。多岐に渡ってありますが、それぞれいろいろな制約の中で工夫し、作り上げていく過程は共通するところがあると思います。

私たちの業界=建設業、不動産業というのも、ものづくり、作り上げるということでの共通点がありますが、他のものづくりとは大きく違う制約をうけるところが一点あります。
当たり前のことなんですが、それは“動かせない”ということであり、そしてその“動かせない”がとてもポイントとなります。
“動かせない”ものをデザイン、設計することは、おのずと様々な条件が決まることがあるからです。
例えば山の景色を見たいと思っても、海側の土地だったらそれは不可能ですし、南側からの光を取り入れたいと思っても南側に窓がなければ、光を取り入れることは難しい。

新築であれば、希望に応じて土地を見て探し、その景色を見て、建物の向きや高さを考え検討できるのですが、今回は既存の建物を利用するリノベーション中心の話しとなると、戸建てであれば基本的な建物の形や向き、またマンションであればバルコニーがある場所、玄関がある場所などは動かせません。
その“動かせない”という大きな制約の中でリノベーションの設計をすることということは、場合によってはやりたいことを諦めないといけない、ということも発生します。その限られた条件の中でよりよい暮らしをデザインしていくということが、住宅リノベーションの大きな特徴だと思います。

住空間のゴールデンゾーンってなに?

『住空間のゴールデンゾーン』について

一般的に「ゴールデンゾーン」は、お店の陳列棚の商品でお客さんが一番見やすく、手に取りやすい高さや範囲のことを言うときに使ったりします。
またそういったことから関連して、住宅において整理収納方法などで最も使いやすい範囲というニュアンスで使用する場合もあります。

今回お話させていただく「住空間のゴールデンゾーン」とはどういうことか。
それは、住空間の中で一番居心地がよい、快適な場所ということになります。
設計する上でとても重要な要素となりますが、それはみなさんが普段の生活の中で、無意識のうちに一番居心地がよい快適な場所を感じ取っていると思います。

では具体的に住空間のゴールデンゾーンは一体どういったことから決まるのでしょうか。
先に述べた建設業、不動産業のポイント、“動かせない”という条件の中からおのずと決まってくることがあります。

まず、太陽光です。
普段の暮らしのなかで重要度の高い部分だと思います。南側からの光、また東側からの朝日の光が入り込むということが理想的、という方が多いのではないでしょうか。室内の内部に取り入れる光になるので、マンションの場合は窓の位置をかえたり増やすことはできません。先に述べた“動かせない”という条件の中で決まってくる部分です。

つぎに音の環境です。
建物の立地が幹線道路沿いや線路の近く、また住戸がエレベータの横にある場合などは、音や振動に大きく影響します。

つぎに、温熱環境です。
マンションの場合は住戸の配置によって大きく変わります。基本的に角住戸は外部に面する部分が多いので不利です。両サイド、上下に住戸がある中住戸のほうが有利となります。

つぎに、動線です。
動線とは人が動く道ということですが、マンションの場合は玄関扉とバルコニーの位置が関係します。入口と出口は動かすことができません。

つぎに視線です。
視線に関しては見る側と見られる側の両方あります。見る側は、景色です。見られる側は外部からの視線やその距離感等です。窓の位置が決まってくるので見える景色も見られる側の視線なども決まってきます。

このように“動かせない”という条件の中で決まってくる部分が住空間のゴールデンゾーンと深く関わっています。

設計するときに一番最初にすること

『住空間のゴールデンゾーン』について

一般的にはリビングに住宅のゴールデンゾーンをもってくることが多いです。
それは暮らしのなかでリビングにより快適性を求める方が多いからです。しかしすべての皆さんの暮らしが必ずしもそうであるとは限りません。
キッチンでの時間を大切にしたい場合、寝室をより快適にしたい場合などそれぞれです。そのようなそれぞれの一番居心地のよさを重要とするスペースにゴールデンゾーンをもってくるといった設計をすることで理想の住まいへと近づくと思います。

日々、住宅の設計をする中でこういったことは無意識にやっているのですが、お客さまがリノベーションをしたいと思い、ご自身で間取りなどを勉強され、理想の間取りを持って来られる方もいらっしゃいます。そのときにこの住宅のゴールデンゾーンを考えることなく間取りをあてはめてしまうと、たとえ理想の間取りであっても実際の生活は理想の暮らしとならないケースがあります。

住空間のゴールデンゾーンは“動かせない”ところからおのずと決まることがあることから、だからこそ現地をよく知ることが設計において一番重要な部分になります。
住宅を設計するときはまず現地に足を運び、紙面ではわからない現地の情報を集めたり、何を感じるのかを大切にしています。そういったプロセスを踏まないと、目隠ししたまま歩いているようなものなので設計は始まりません。

先に述べた太陽光、音、温熱環境、動線、視線など“動かせない”住空間のゴールデンゾーンとの関係が深い要素など、それぞれ現地で十分に確認してから、窓の位置は変えられませんが光の取り入れ方を工夫したり、断熱性能をアップしたり、防音の対策や間取りの工夫などの対応、設計していくことでよりゴールデンソーンを生かし、その場所の良さを最大限に引き出し、暮らす方のよりよい暮らしの実現を目指しています。

設計する上で大切にしたいこと

『住空間のゴールデンゾーン』について

住空間のゴールデンゾーンを見極め、その場所の良さを最大限に引き出し設計していきますが、私が自分のために住むデザインではないので、私の価値観や感じ方が、そこに住まわれるお客様はどう感じているのか、私と同じように感じているのか、違う感じ方をされてるのか、というところのすり合わせが何よりも大切だと思っています。

そのためにはどんなお風呂に入りたいですか、というような質問よりも前に、どう過ごしたいですか、何に心を踊りますか、何を好きって感じますか、何が嫌だなと思いますか、などといった感覚的なところから話をお伺いし、お客様の感覚を理解するようにし、そこを大切にして設計していくようにしています。

また、風水であるとか、いろんな占いなどを私は信じてるわけではないですけれど、風水などの考え方は先の“動かせないもの”の太陽光や風通しなどが出発地点として考えられたりしているので、理にかなっているところもあるかと思います。ですのでそういったことも目を通したりして、勉強しています。

住空間のゴールデンゾーンを考える上で、自分の感覚的なところと今までの先人たちが体系化してきた様々な知識や知恵も取り入れながら、お客様の感覚を大切にし、お客様にとってより快適な住まいとなるよう設計しています。

IDA DESIGN(株式会社IDA Company)は神戸市灘区を中心に住宅リノベーションを手掛ける地域密着型の会社です。戸建てやマンションのリノベーションに関する問い合わせや、見積もりを承っております。共働き夫婦が快適に暮らすためのリノベーションについてもご相談可能ですので、まずは気軽にお問い合わせください。

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IDAジャーナルとは
住宅や店舗のリノベーションを手がける IDA DESIGN(アイディーエーデザイン) のコラムです。 リノベーションの基礎知識や、デザインやインテリアに関することを代表ブログでお届けしています。 コラムを通じて、住宅リノベーションの知識を深めつつ、私たちのことを知っていただけたら嬉しいです。

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