リノベーションを検討するとき、実際にはどういう流れで実施されるのか気になるところです。この記事ではご自宅、または既に取得済みの物件をリノベーションしたい方に向けて、一般的な流れを解説します。また各段階でのやるべきことをピックアップしておりますので、リノベーションの際の参考にしてください。
<目次>
1.リノベーションにかかる期間
リノベーションにかかる期間というと工事期間だけのイメージがあるかもしれません。しかし、実際は相談期間や設計期間など含め、引き渡しまで半年以上かかることも。あらかじめリノベーションの流れや期間を把握しておきましょう。
1.1.<大まかな流れと期間>
リノベーションの大まかな流れと期間は下記の通りです。
ステップ | 期間の目安 | 具体的な内容 |
---|---|---|
1: 相談期間 | – | ・相談会に参加 |
2: 設計期間 | 2~3ヶ月 | ・現地調査 ・ヒアリング ・プランの提案 ・見積もり |
3: 工事期間 | 2~3ヶ月 | ・工事準備 ・工事着工 |
4: 引き渡し | – | ・検査 ・引き渡し |
暮らし方に住まいを合わせるための、こだわりが詰まったリノベーション。設計・工事期間が3ヶ月ほどに長引くこともあり、検討開始からリノベーション後の引っ越しまで半年くらいかかるケースも少なくありません。スケジュールに余裕をもって理想の住まいへの計画を進めて行きましょう。
リノベーションをスムーズに進めて行くためには、具体的なイメージや予算を明確にする必要があります。「今の建物の問題は何か」「どういう間取りにしたいか」など、事前に家族で話し合いをしておくと安心です。
なお、リノベーションの依頼先には以下があります。
設計事務所型 | 工務店型 | 設計施工型 | |
---|---|---|---|
概要 | 自社で設計後、工務店コンペもしくは提携下請けで施工 | 外注設計と共同で設計後、自社で施工 | 自社で設計し、自社で施工 |
特徴 | ・おしゃれな住まいを実現できる ・費用がかさみやすい | ・事業所によって品質が異なる ・費用が安い傾向にある | ・おしゃれな住まいを実現できる ・中間コストが抑えられるため、設計事務所型より費用が安い傾向にある |
デザインを重視したい、できるだけ費用を抑えたい、など希望によって最適な依頼先は異なります。ご自身に合った依頼先を選びましょう。
2.リノベーションの流れ(1):相談期間
リノベーションを進めるうえで、最初に訪れるのは「相談期間」です。ここでは、相談期間にやるべきことについて解説します。
2.1.<相談会に参加>
リノベーションが気になりだしたら、まずはリノベーション業者が行う無料相談会などに参加してみましょう。相談会では「リノベーションって何ができる?」「何から考え始めたらいい?」といったふんわりとした相談から、下記の内容までなんでも相談できます。
・施工事例
・工事費用の概算
・デザインの方向性
・大まかなスケジュール
デザインの方向性や大まかなスケジュール、工事費用の概算など相談でき、リノベーションの全体像をイメージできます。ときにはモデルルームを見学できる場合もあり、リノベーション後の暮らしを想像しやすくなるでしょう。
■ 段階別やるべきリスト①
相談会の前に、下記を検討しておきましょう。
1.予算
2.仮住まい
3.工事の時期
4.費用の支払い方法
もちろん相談会に参加してから検討もできますが、現時点でもわかることをはっきりさせるとよりスムーズにリノベーションが進められます。また、相談会の際には下記を準備しておくのがおすすめです。
5.リノベーション希望物件の間取り図・写真
6.今の建物の不満・困りごとをまとめる
7.こんな風に暮らしたい!などの希望をまとめる
相談会で間取り図や写真を共有すると、具体的なプランを立てやすくなります。また、希望や不満を書き出しておくことで、リノベーションで理想的な暮らしができるかどうか検討しやすくなるでしょう。
3.リノベーションの流れ(2):設計期間
相談会に参加し、リノベーションの依頼先を決めたら設計期間に移ります。設計期間では下記を行います。
・現地調査
・ヒアリング
・プランの提案
・見積もり
3.1.<現地調査>
現地調査とは、設計デザイナーや工事担当者がリノベーションする物件に足を運ぶ、いわゆる下見のことです。現地で設備関係の確認・採寸・写真撮影・通風など多岐にわたり確認。これにより希望するリノベーションが可能かどうか調査・判断します。
その他にも管理人さんへのヒアリング、共用部、周辺環境の確認も行います。なお、建物の構造によっては解体できないできない柱や壁もあるため、現地調査なしでリノベーションはできません。
3.2.<ヒアリング>
現地調査の結果をもとに、リノベーションに対する想いをヒアリングします。間取りや設備はもちろん、平日・休日の過ごし方や趣味など細かくヒアリング。ライフプランに合わせたリノベーションが実現できるよう、この段階で打合せします。
■ 段階別やるべきリスト②
ヒアリングの段階で、要望を全て伝えることが大切です。今の暮らしで改善したい点など、下記のように具体的な内容をまとめておくとよいでしょう。
1.設備
・古い
・故障している
・機能が足りない
・配置を変えたい
2.内装
・傷が目立つ
・立て付けが悪い
3.外装
・外装にヒビがある
・屋根が色あせている
4.間取り
・動線が悪い
・風通しが悪い
・部屋が多い/少ない
5.その他
・地震が心配
・光熱費が高い
・騒音が気になる
ヒアリングの段階で、とにかく要望をすべて伝えることが大切です。
言葉だけでなく、イメージに似た写真を集めるとより伝わりやすくなります。雑誌の切り抜きやインスタ、ピンタレストなどを活用し写真を集めましょう。
3.3.<プランの提案>
ヒアリングが完了したら、理想の家にリノベーションできるよう力を合わせてプランを作り上げていく期間です。設計士が初回プランの提案を行い、その後、打ち合わせを重ねて徐々に最終的なプランへと洗練させていきます。具体的には素材・仕様の打ち合わせ、メーカーショールームなどの見学を行います。納得のいくまでしっかり検討、話し合いをしましょう。アイデアが形になっていく喜び、ワクワクドキドキを楽しんでくださいね。
■ 段階別やるべきリスト③
プランの提案のタイミングで、あらためて要望をすべて伝えましょう。ヒアリングの際にも要望は伝えますが、うまく伝わらないままプランが作られてしまうこともあります。特に初回のプラン提案で完璧に仕上がることはほぼありませんので、要望は遠慮なく伝えてみてください。
たとえ「予算的に無理かな」と思っても設計士に理想を伝えることで、違った角度からのアイデアや方法がでてくる場合もあります。
あれもこれもと盛り込むと予算オーバーになることもありますが、次の見積もり段階でバランスの調整を行うことを前提に、要望を伝えましょう。
3.4.<見積もり>
プランが完成したら実際にはいくらかかるのか、詳細な見積もりで金額の確認をします。やりたいことをすべて詰め込むと予算オーバーしてしまうこともあるでしょう。やりたいことの優先順位に基づき予算内におさまるよう、設計士とともにバランスのとれた最終プランに調整していくことが大切です。
■ 段階別やるべきリスト④
見積もりの段階で、やりたいことの優先順位を明確にしましょう。
「子どもが生まれるから部屋を増やしたい」「老後に向けて住みやすくしたい」など、リノベーションを行う目的を明確にして、予算内におさまるよう優先順位をつけてみてください。
優先順位の高いところはこだわり、低いところは少し譲ると予算内に収めやすくなります。たとえ予算オーバーで理想の暮らしを手に入れても、その後の資金計画に無理ができてしまうのはよくありません。また、コスト削減を重視しすぎて、実際に生活してみたら暮らしにくくなってしまうのも本末転倒です。
いま一度リノベーションする目的を念頭に置き、優先順位を付けることで理想的な住まいに近づきます。
4.リノベーションの流れ(3):工事
リノベーションのプランが完成したら、工事期間に移ります。工事期間では下記を行います。
・工事準備
・工事着工
・検査/引き渡し
4.1.<工事準備>
工事を始める前には、各所の許可・承認が必要です。工事申請の提出と近隣住民への挨拶が主な内容になります。マンションの管理組合への申請に関しては、「管理規約」に従って工事が行われるか確認も必要です。
■ 段階別やるべきリスト⑤
工事準備でやるべきことは、近隣住民へのあいさつと引越しです。基本的にはリノベーション会社が管理組合の工事申請や近隣挨拶を行います。しかし、工事中は近隣住民へ何らかの影響がある恐れがあります。トラブル回避のためにも、業者だけに任せるのではなく、ご自身からも近隣住民へ挨拶するのがおすすめです。また、リノベーション中に現在の建物に住めない場合は仮住まいを確保し、引っ越しも行いましょう。
4.2.<工事着工>
準備を終えたらいよいよ工事が始まります。
まずは解体工事です。建物を解体したらフローリングの下からさらにフローリングが出てきて床の高さが変わったり、竪排水管がなくて洗面やトイレの場所を変えられなかったり、なんてこともあります。このように、解体工事後に初めてわかることもあるので、現地で改めて打合せを行います。
打ち合わせが完了したら本工事が開始です。設計士が作成したプランと工程表をもとに職人さんが力を合わせ、工事が進みます。本工事の際も実際に現場に行き、その場で打合せを行います。現場には資材や工具などが置かれており、無断で立ち入ると危険なこともあるため注意しましょう。
■ 段階別やるべきリスト⑥
工事の際には現場にて打ち合わせが必要なことがあります。解体後に想定と違った状況があったり、既存の図面と相違している箇所等でプランの変更などが発生したりする場合も。変更がある都度に設計士と打ち合わせを行います。
4.3.<検査/引き渡し>
本工事が完了したら、完了検査を行います。設計士によるチェック、また施主によるチェックを実施し問題がないか確認します。検査に基づき手直し工事を行い、完了後に問題がなければ引き渡し。新しい住まいでの生活がスタートです。
■ 段階別やるべきリスト⑦
検査・引き渡しの段階では施主検査と引越しを行います。
施主検査では設計士の立ち会いのもと、チェック項目に沿いながら検査を実施。問題がなければ物件が引き渡されますので、仮住まいから引越しをしましょう。仮住まい先への引っ越しでは整理しきれなかった物がある場合、改めているもの・いらないものを選別をしましょう。
いよいよ、理想がつまったご自宅での新しい生活がスタートします。
リノベーションの流れをつかんで、理想のくらしへ
リノベーションは大きく、「相談期間」「設計期間」「工事期間」の3つの期間に分かれます。まずは相談会に参加しリノベーションの依頼先を決め、その後具体的なプランを設計します。設計の際には要望を全て伝えきれるよう、あらかじめイメージ写真など準備しておきましょう。工事期間中には仮住まいへの引越しが必要なこともありますので、早めに引越し業者や引越し先の手配を行ってください。リノベーションの流れをつかみ、スムーズに理想の暮らしへ近づきましょう。
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