床は部屋の中で大きな面積を占めるため、床材選びは部屋のイメージを決める重要な要素です。また、リビングやキッチン、洗面所など部屋の種類によって向いている床材は異なります。この記事では、リノベーションで床材の変更を検討している方向けに、床材の種類や特徴、部屋ごとの選び方を紹介します。
<目次>
1.リノベーションに使用する床材の種類と特徴
リノベーションでは床材を今と異なる種類に変更できます。ただし、マンションの場合は遮音性能が管理規約で決められている場合があるので事前に確認が必要です。また、床暖房にしたい場合は対応できる床材を選ぶ必要があります。ここでは、主な床材の種類と特徴を解説します。
1.1.フローリング
フローリングとは、一般的に木材をベースとして使用した床材のことです。大きく分けて「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。
⚫無垢フローリング
無垢フローリングとは、天然木を切り出した一枚板のフローリングのことです。自然素材ならではの質感や肌触り、木の香りを楽しめるのが一番の魅力。無垢フローリングに使われる木材にはオークやアカシアなど色々な種類があり、部屋の雰囲気や好みに合わせて選べます。
経年変化により徐々に深みのある色になっていくのも特徴のひとつです。人とともに歳を重ね味わいが増してく無垢フローリングは、愛着が持てるに違いありません。また、天然木には調湿作用があるため、梅雨の時期でもべたつきにくいのもメリットです。
一方で、季節や経年により木材が伸縮し、隙間ができる可能性があります。水や傷に弱いため、こまめな手入れが必要になるでしょう。一枚板を使用していることから高価な傾向があるため、次に紹介する複合フローリングと比較しながら選ぶのが良いでしょう。
⚫複合フローリング
複合フローリングとは、基材となる集成材や合板の上に、薄く切った木材や化粧シートを貼り合わせた床材です。種類は大きく分けて以下の3つに分かれます。
複合フローリングの種 | 特徴 |
挽板フローリング | ・ノコで切り出した木材を使用 ・木材は2mmほどの厚さ ・見た目や質感が無垢フローリングに近い |
突板フローリング | ・スライスした木材を使用 ・木材は0.3~0.5mmほどの厚さ |
シートフローリング | ・木目柄や石目柄を印刷したシートを使用 ・色々な種類の柄を選べる |
一枚板を使用した無垢フローリングと比べると反りなどが起こりにくく、メンテナンスしやすいのがポイントです。なお、挽板フローリングは厚みのある木材を使用するため無垢フローリングと同様のお手入れが必要になります。
ただし、一枚板を使用した無垢材と比べると質感は劣る傾向にあります。特にシートフローリングの場合はツルツルとした手触りになり、木材らしさは味わいにくいでしょう。
1.2.フロアタイル
フロアタイルとは、塩化ビニル素材で作られたパネル状の床材のことです。
色柄が豊富のため、部屋の雰囲気に合わせやすいのが特徴です。木目や石目などリアルな柄があり、高級感のある仕上がりも目指せます。また、耐久性があるのもメリットのひとつ。傷がつきにくいうえ、汚れに強いのでメンテナンスがしやすいです。汚れやすい水回りや、土足で立ち入る土間に使用するのにも適しているでしょう。
一方で、クッション性は低く硬さを感じる素材のため好みが別れます。また、防音性が低く、熱に弱いのもデメリットです。
1.3.クッションフロア
クッションフロアは塩化ビニル素材で作られた床材です。フロアタイルとは異なり、クッション性があり柔らかいのが特徴です。
デザインの種類が豊富なうえ、安価で水に強いため、賃貸物件に使用されることも多い素材になります。クッション性が高いため足腰にも優しく、素足でも冷たく感じにくいです。
重い家具などを置くと跡がつくため、注意が必要です。また、耐久性は低く、熱に弱いというデメリットもあります。柄はプリントのため、種類によっては安っぽくみえることもあるでしょう。
1.4.カーペット
カーペットとは、繊維を織ったり編んだりした敷物のことです。ウールやナイロンなどさまざまな素材があり、織り方によって色柄や表面のタイプも変えられます。
カーペットは織物ですので、肌触りが良いのがポイントです。また、遮音性やクッション性があるため、快適な暮らしをサポートできるでしょう。保温性にも優れているため、床暖がなくても冬を暖かく過ごしやすいです。
ただし、水分に弱いためワインやコーヒーをこぼすとシミができてしまうことがあります。また、ダニの死骸やほこりが溜まりやすいため、こまめな掃除が必要です。なかには防汚加工や防ダニ加工が施されたカーペットもありますので、気になる方は機能性を重視して選びましょう。
1.5.タイル
タイルとは、粘土などを主原料とし板状にして高温で焼いて作られた素材です。
タイルは焼き物ですので、高級感を演出しやすい素材です。またカーペットのように繊維の隙間に汚れが入りこむことがないため、掃除もしやすいでしょう。
ただし、タイルは硬く冷たいため、足腰に負担がかかったり冬場に冷えたりしやすいです。
リノベーションで使用されるタイルの種類としては以下があります。
タイルの種類 | 特徴 |
磁器質 | ・石英や長石が材料 ・吸水性が低く強度が高い |
せっ器質 | ・粘土や長石が材料 ・素焼きの状態 ・吸水性が低く強度が高い |
陶器質 | ・粘土や石灰が材料 ・ガラス質のコーティングが施される ・デザインや色が豊富 ・吸水性が高く強度が弱い |
なお、陶器質のタイルは吸水性が高いうえ強度も弱いため、床材としては向いていません。
リノベーションでカタログからタイルの種類を選ぶ場合は、内装用かつ床材用のタイルのなかから選べば間違いないでしょう。
2.【場所別】リノベーションの床材選びのポイント
床材はそれぞれメリット・デメリットがあり、適している場所が異なります。リノベーションの際にはインテリアの方向性と床材の特徴を活かし、使用する素材を選ぶとよいでしょう。
2.1.リビング・各居室
リビングや居室は人がくつろぐメインの空間です。床材はインテリアの方向性と合わせてコーディネートすると統一感がでやすいでしょう。
また、床材はそれぞれ性質が異なるため、過ごし方に合わせて選ぶのもおすすめです。たとえば、小さな子供がいて床に座ったり動き回ったりすることが多いのであれば、硬く冷たいタイルよりも、肌触りや質感のいい無垢フローリングや暖かく柔らかいカーペットのほうが適しています。反対に、床に座ることはなく、ソファでゆっくり過ごすことが多いのであればフロアタイルを選ぶと手入れが楽に済むでしょう。
2.2.キッチン
キッチンは料理をする場所のため、水や油などにより汚れやすい場所です。そのため、床材は防水性、防汚性、メンテナンス性を重視するのがおすすめになります。
具体的には、撥水性が高い塩化ビニル素材を使ったフロアタイル、クッションフロアが向いています。種類によってはタイルも適していますが、食器を落としたときに割れやすいです。「食器を落とすのが心配だけどタイルがいい」という方は、タイルの上にキッチンマットを敷くと良いでしょう。
2.3.洗面室・トイレ
洗面室は水はねや浴室からの湿気が気になる場所です。耐水性とメンテナンス性を重視した床材を選びましょう。特にトイレは尿のアンモニアによる汚れがつきやすい場所ですので、防水性だけでなく防汚性に優れた素材がおすすめです。
具体的には塩化ビニル素材を使用したフロアタイル、クッションフロアが適しています。
反対に、水がしみこみやすい無垢フローリングやカーペットは向いていません。
リノベーションで床材にこだわりおしゃれで快適な暮らしへ
「床材といえばフローリング」というイメージが強いかもしれませんが、フローリングのなかでも無垢フローリングや複合フローリングと種類が分かれます。その他にもフロアタイルやカーペットなどさまざまな種類があるため、リノベーションの際には各部屋に合った素材を選ぶことが大切です。
IDA DESIGN(株式会社IDA Company)はフローリングはもちろん、フローリングをメインとしない空間作りも得意としています。お客様の好きなインテリアテイスト、使い勝手などに合わせてさまざまな提案をいたしますので、気軽にご相談ください。
なお、代表ブログでも床材について書いているので、そちらもご参照ください。
> リノベーションにおける「床材選びの楽しみ方」